LAM・空想地図講座の概要
武蔵野大学高等学校では、高校1年生全生徒を対象に、週2時間探究学習の講座を実施しています。題してLAM(Liberal Arts Musashino)と言い、あらゆる世界のプロが外部講師となり、普段の授業とは異なるスタイルの授業で学習を進めていく、同校固有のプログラムです。2023年度は空想地図の他、哲学対話、アートシンキング、Webデザイン、映像制作、社交ダンス、ストリートカルチャー、声、韓国語、といった講座がありました。
この授業は地図に限らず、デザインも含めて、0から作る試行錯誤を体験するプログラムです。同校ではコースによっては毎週プレゼンの課題がある等、インプットだけでなくアウトプットの機会もありますが、この授業で特徴的なことは、ゴールや評価なく、0から考えて形にする機会ということです。開講以来この講座の受講生の数は最も多く、各期50人以上の生徒が受講しています。
本講座に関する紹介記事
武蔵野大学高校公式から取材記事まで、この授業(LAM)に関する紹介記事は下記の通りです。
高1LAM紹介④〜空想地図〜 | 武蔵野大学中学校・高等学校
武蔵野大学中学校・高等学校2023|学校特集|首都圏模試センター
Agency Education in Japan #2: Imaginary Map Workshop
第1〜4回空想地図を制作する
基本的には空想地図ワークショップの内容と同様ですが、このプログラムでは十分に時間があるので、最初に地図から街の様子を想像し、読めるようになるワークを行い、読解力、想像力を養成する2つのグループワークを行います。
空想地図上で、どこにカフェを出店する?
最初に地理人作の空想地図「中村市」を見て、どこにカフェ出店すると良いか、その理由も含めて考えます。
実際の地図情報から風景を想像する
次に、道路や鉄道、建物だけが描かれ、地名等のヒントがない実際のどこかの地図と、風景写真9枚を並べるワークを行います。地図上には市街地から山林まで9箇所のポイントが打ってあり、地図上のどのポイントがどの写真かを照合するワークです。
ここから2、3回にわたり、1人1個、空想地図制作を行います。ここでは地理・地図に関する講義はなく、あまり具体的な設定を考えることなく、地図模様を組み合わせることによって地図を作ることに専念します。0→1を作ることへの苦手意識や抵抗がある生徒もいますが、幼少期には多くの人がやっていたような、ゴールを考えることなく0→1を試行錯誤する感覚を思い出し、一旦は思考を抜いて「作る」ことに集中します。
制作の後は、地図上に補足情報(解説やそこから想像したこと)を入れ、制作時間が余った場合は、より詳しい解説と、風景写真(近い写真か、AIで作成)を入れた詳しい解説を作ります。作ることを終えた後に、想像力や思考力を使い、この地域はどのような様子で、周囲はどんな情景が広がっており、なぜこのような様子なのか、その背景や歴史等を考えます。
第5〜7回空想店舗のロゴデザイン&レシート制作
ここからはグループワークでデザインに入ります。各グループ「作りたいものを作る」ことはできますが、歴史の長い店舗にするか新しい店舗にするか、高級感を出すか、逆にポップな感じにするか、想定したイメージや方向性にあわせたデザインにするため、まずデザイン概論の講義を行い、グループワークを行います。実際のスーパーチェーン複数店舗のロゴデザインを見て、それぞれどのくらいの店舗展開規模(店舗数の大中小)と価格帯(高中低)か予想します。こうして、ロゴデザインから店舗の方向性を読む想像力をつけますが、ここから先は逆に、店舗の方向性をデザインに反映するワークに入ります。
架空の店舗を考えるにあたり、グループメンバーでアイデア出しをします。店舗の業態、雰囲気・客層、参考にする実際の店舗とその店舗と近い点・違う点、店舗名やキャッチコピー、ロゴデザインアイデアスケッチの順で考え、それぞれ異なる色の付箋でアイデアを出します。
架空の店舗のロゴができたら、その店舗でどんなものが売られているか、その商品名や価格を考え、購入者が何を何個買ったかを考えます。そしてこれをレシートにして、印刷します。
第8〜10回空想企業の商品パッケージをデザインする
最後に、空想企業の商品パッケージを考えます。アイデアを出し、考えるプロセス(手順や付箋の使い方)はロゴデザインと同様です。商品イメージができた後は類例を探し、参考にしつつ、デザインを展開図で考えます。企業や商品のブランドストーリー・歴史・メッセージ、店舗の口コミ、売られている商品・メニューを考え、発表します。
受講生総数
2022年度
前期56名
2023年度
前期53名後期53名
2024年度
前期50名後期48名
(合計:260名)
アンケート結果
これからの勉強や高校卒業後や仕事等で活かせそうな気がする
’22前期 || 6%(3)
’23前期 ||||| 16%(8)
’23後期 ||||| 15%(8)
’24前期 ||||||||| 29%(14)
何の役に立つかはわからないが、何かに役に立ちそうな気がする
’22前期 |||||||||||||||| 49%(26)
’23前期 |||||||||||||| 42%(21)
’23後期 ||||||||||||||| 47%(25)
’24前期 ||||||||||||||||||||||| 69%(33)
役に立つかはわからないが、楽しくはあった
’22前期 ||||||||||||||||||| 56%(30)
’23前期 |||||||||||||| 44%(22)
’23後期 |||||||||||||| 42%(22)
’24前期 |||||||||||||| 42%(20)
授業内容より、実際のところ友達と話せる時間として楽しかった
’22前期 |||||||||||||| 43%(23)
’23前期 |||||||| 24%(12)
’23後期 |||||| 19%(10)
’24前期 ||||||||||| 35%(17)
楽しくもあったが、難しかったり、大変だったとも思う
’22前期 ||||||||||||||||||| 57%(31)
’23前期 ||||||||||||||| 46%(23)
’23後期 ||||||||||||||| 46%(21)
’24前期 ||||||||| 27%(13)
楽しいというよりは、難しかったり大変だったと思う
’22前期 || 6%(3)
’23前期 0%(0)
’23後期 0%(0)
’24前期 | 4%(2)
その他
’22前期 2%(1)
’23前期 0%(0)
’23後期 2%(1)
’24前期 || 6%(3)